スマートシティ事例
近年、スマートシティの取り組みがますます注目を受けている。
もともと、スマートシティとは主に電力をはじめとしたエネルギーの効率的な運用を行う都市という意味合いが強かったのだが、テクノロジーの進化とともに対象の領域が広がっていき、現在ではモビリティ、ヘルスケア、防災、防犯などといった領域にも取り組みが広がっている。
参考:https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/smartcity/00_scguide_s.pdf
国内におけるこれまでのスマートシティの取り組みを振り返ることで、課題や成果を明らかにし、今後新たにスマートシティに取り組む方への一助としたい。
1.民間事業者主導のスマートシティ
(1)藤沢サステイナブルスマートタウン
神奈川県藤沢市では、2010年よりPanasonicの主導で、「生きるエネルギーが生まれる街」をコンセプトに約1,000世帯の戸建て住宅を建設し、スマートタウンの取り組みを進めている。
エネルギー、セキュリティ、モビリティ、ウェルネス、コミュニティの5つのタウンサービスに取り組んでいる。
ー具体的な取り組み
①エネルギー
戸建て住宅全てに、太陽光発電システム、蓄電池ユニットを装備。さらに、家庭内のエネルギーを賢くマネジメントする「スマートHEMS」で、エネルギーを自産自消するエネルギーライフへと進む。
②セキュリティ
防災:災害情報をスマートテレビに自動で表示
防犯:街の出入口、公共の建物、公園の陰、大通りの交差点などを中心に約50台もの「見守りカメラ」と照明を効果的に配置
③モビリティ
利用シーンやニーズに応じて、電気自動車(EV)、電動アシスト自転車などのシェアリングサービスを提供。
充電バッテリーをレンタルする「バッテリーステーション」の設置。
また、多様なトータル・モビリティサービスを、ワンストップで実現する存在が「モビリティコンシェルジュ」を設置している。
④ウェルネス
特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、薬局、訪問介護サービス、各種クリニック、保育所、学童保育、学習塾などが一体となった「ウェルネス スクエア」を設置。さまざまなサービスが分野の垣根を超えてシームレスに提供される。
地域内の医療や介護、その他健康関連情報を共有する地域包括ケアシステムを導入。
⑤コミュニティ
街の情報や独自のサービスへワンストップでつながるポータルサイトを提供する。
PC、スマホ、スマートテレビなどからも接続が可能。
住まいの情報を管理し、維持保全の向上を図る。
地域内のサービスを利用する際に利用できる、FujisawaSSTカードとポイントプログラムを整備しており、ポイントは地域内の活動やカーシェア/暮らしカルテなどの利用により付与される。
これによって、地域内活動へのインセンティブとしている。
SOYLinkという地域内SNSを導入しており、地域内のシェアリングや情報発信を行なっている。
⑥その他実証事業
・自動運転技術を搭載した自動配送ロボット実証
・スマートデバイスを活用したQoL向上の取り組み
IphoneやAppleWatchなどで取得した、歩数情報、睡眠時間などから自信のQoL状況が見える化できる仕組み
・オンライン服薬指導および宅配ロッカーを活用したお薬の受け取りサービス
・コミュニティ内で個人が所有するアイテムの無償貸し借りを支援する「Rentastic!」の提供
・まち親プロジェクト
ー推進体制
Panasonicが代表幹事となり、20社でFujisawaSST協議会を設立。
実際の街の運営は、タウンマネジメント企業である、FujisawaSSTマネジメント株式会社を設立し、タウンマネジメントを実行。
Panasonic、三井不動産、三井物産、電通などが出資をしている(Panasonic系が50%以上を出資)
FujisawaSSTマネジメント株式会社は、2020年3月期に初めて黒字転換している
(詳細は上場企業でないため非公開)
ービジネスモデル
どのようなサービスをどのような価格で提供しているのか
町内会費みたいなものはある模様
柏の葉スマートシティ
https://www.kashiwanoha-smartcity.com
主導者:
スマートシティ竹芝
https://www.softbank.jp/biz/dx/takeshiba/
東京都港区では、国家戦略特区である竹芝エリアにて、ソフトバンクと東急不動産が都市型スマートシティのモデルケースの構築に取り組んでいる。「Smart City Takeshiba」と称する本プロジェクトは、ビルやまちのデータを収集し、「今必要な情報」を提供する。
ソフトバンクの公式ページ:Smart City Takeshiba
最先端のテクノロジーを街全体で活用するスマートシティの実現
プロジェクトが目指すのは最先端のテクノロジーを街全体で活用するスマートシティの実現だ。竹芝地区でデータ活用やスマートビルの構築に取り組むほか、ロボティクスやモビリティ、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、5G(第5世代移動通信システム)、ドローンなどの幅広い領域でテクノロジーの検証を行う計画である。 また、両社の他にも様々な事業者による最先端テクノロジーの検証も予定されており、都市の課題解決を実現するスマートシティのモデルケースを目指している。